主婦の年金問題-改革に向けて

 

三号被保険者の記事へ頂いたお便り紹介

 

今回の年金改正で評価できる点は、遺族年金が結構改正されたこと。30歳未満で、子供のいない妻が夫を亡くした場合、遺族年金は5年で打ち切られるようになる。現状では一生年金暮らしができるのだということが改めて驚きである。打ち切りは自然であり、5年でも長すぎるくらいだろう。失業保険の期間くらいで充分だと考えられる。若いのだから働くのが当たり前だし、本人のためでもあろう。次回改正でさらなる短縮を望みたいが、本質的には、年金は個人単位のものを望んでいる。個人単位というコンセプトが明確であるという点において、民主党の対案は評価できる。問題は消費税増税が受け入れられるか、という点と、今ある制度からどうやって移行するのかという点だろう。(2004)

ともあれ、本日はお便りの紹介です。

ホームページを拝見しました。

 

私は、シングルで働いています。もうすぐ結婚も考えていますが、結婚しても出産しても仕事は続けていくつもりです。

 

このHPで書かれていることは、私が常日ごろ不満に思っていたことが書かれていました。専業主婦が労働しているというのが、非常に腹立たしいというか、ばかばかしい。労働というなら、ちゃんと税金や社会保険料を納めてもらいたい。

 

HPにあったが、子育てが社会貢献となる、というが労働しないニートが社会にあふれてそんな子供をたくさん増やされても迷惑でしかない。社会のお荷物が増えては、たまらない。さらに、専業主婦に育てられた女の子が結婚して無職でいたら、いったい何の社会貢献をしたというのか疑問。

 

 専業主婦は保険料を払わずに年金がもらえるという、ふざけた制度は1秒でも1日でも早くなくして欲しいと強く思います。 私にとって、専業主婦は社会のお荷物でしかないと思っています。

 

ひさしぶりにお便りいただきました。ありがとうございます。専業主婦の中には職業欄に「主婦」と書く人がいますが、間違ってますよねえ。主婦というのは「長男」というのと同じで家庭内の立場。正しくは「無職」です。だって主婦の中にもちゃんと働いて税金も年金も払っている人もいるわけですからね。(ちなみに専業主婦の労働価値を金銭で見積もることの無意味さはこちらに指摘させてもらっています)。もうすぐご結婚とのこと。おめでとうございます。仕事に家庭にがんばってくださいね ^^/ (2006/9/15)

くたばれ!専業主婦くたばれ!専業主婦
(1999/09)
石原 里紗

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次のお便りです。


『矛盾点について(特に第3号絡み)
鋭く論破して下さり、胸のすく思いを致しております。
  私は独身の勤め人で、高所得ではありませんが経済的には自立しております。給料を貰う前に年金の掛け金を取られている口です。年金制度を云々しますとすぐに、主婦は地域社会に貢献しているとか将来を担う子供を育てているとかそういう方向に話が逸れて行ってしまい、しまいには、いい年こいて独りでフラフラしてるお気楽な奴が何を抜かすか、みたいな反撃に遭うこともあります。子供を産まないで好き放題に生きている女性の面倒を将来公的年金で見るのは如何なものか、などと宣った政治家も居ましたし。
  でも、年金の問題は純粋に経済的な問題であり、「払った分に応じて貰う」というのが建前の筈です。私は自分の稼ぎで生活し、遊び、そして掛け金を払っている。ただそれだけなのです。巷では「セレブ気取」とやらが流行り、努力して成功した人々の外見だけをマスコミの煽るままに真似してしまう連中が居て、その中には第3号と思われる者も数多く含まれているようですが、そういう面々は、保険料払う金は無くても高いお店でランチをしたりブランド品を買ったりする暇とお金はお有りのようです。貧乏学生でも、プータローでも、子供抱えて奮闘している母子家庭のお母さんでも保険料取られるのに、これを不公平と言わずして何を不公平というのでしょう。
でも、こういう現実をメディアは全然突っ込みませんね。特にTVのワイドショーなどは、視聴者に第3号に該当する主婦層を多く含んでいるので、視聴率獲得上、徹底的な議論をせずに迎合しているのだろうと私は推測しています。「サラリーマン+専業主婦」の世帯をモデルとして説明する事が多いのも疑問。女性が働く事が一般的でなかった世代ならいざしらず、20代の夫婦ですよ。女性週刊誌なども、「年金を考える」みたいなもっともらしい記事を載せていても、専業主婦の掛け金は夫の給料から引かれている、といった間違いを平気で書いたりする。実際、身の回りでも、旦那が負担していると思っている人が多いです。どうせ分かってないんだから、旦那の給料から控除ししちゃえ。…というのはちょっと言い過ぎですが。本当は、個人単位で処理するのがあるべき姿だと思います。自分で払うか家族の中で稼ぎのある人が払うか、それは各家庭で話し合って決めればいいと思います。払わずに貰う層を大量に温存させることに比べれば、そんな事は些細な問題に思われます。現に、自営業の家では、夫婦共に払ってるわけですし。
  年金行政も、若者受けしそうなタレントを引っ張ってきて「あなたの将来が心配だわ」みたいな事言わせるような茶番はやめて、負担に応じた受給という原則に立ち返って制度の見直しに本腰を入れてもらいたいものだと思います。』

 

やはり年金は個人単位ですよね。ありがとうございました。
さて、もう一本
こちらはタイトル付です。

 

『働かないことにインセンティブを与える社会

現在の日本は女性の自立にインセンティブを与えない社会だと思います。
  筆頭は3号被保険者制度。
年金分割の議論などもありますが、その前に大量のフリーライディングを認める制度を何とかすべきでしょう。分割にしても、厚生年金加入の夫と専業主婦の世帯を念頭に置いていますし、その制度を若い世代にまで適用するのも疑問です。あくまで、経済力がないために離婚もままならない高齢世代の女性への救済策だと思うのですが。
  若い女性向けのメディアには未だに、「腰掛けの就職→収入のある男性と結婚して専業主婦」という路線を謳っているものが少なくありません。「お嫁系OL」などという言葉まであるようです。如何なるものの定義か知りませんが、「仕事が嫌→結婚退職でもしようかな〜」なんていうのが通用するのは女性だけ。特権と見る向きもありますが、男が同じ事をやったらヒモ呼ばわりですから、それだけ女性の労働が軽視されているとも言えましょう。それに比べれば、「仕事見つかるまで養ってよ」という男の方がまだ殊勝な心がけと言えなくもありません。
  好き勝手やって子供も生まない女性を年金で面倒見るなんて、とぬかしたオッサンが居ましたが、オヤジどもだけじゃありません。「女性が働き蜂になって結婚もせず子供も生まない、殺伐な世の中云々…」という主婦の投書を新聞で見ました。労働、結婚、出産を一緒くたにした上、世相の悪化を働く女性のせいにするという、情けないまでの短絡的思考に、怒るよりも前に哀れみすら覚えます。この国では、子供を産むには「結婚して家庭に入る」という暗黙の前提があるようです。共働きが一般的になり、シングルマザーも少しずつ市民権を得て来つつありますが、いかんせん、国の経済政策は「働く男+専業主婦」というケースを念頭に置いています。それで更に子供がいて生活できるというのは、男が比較的高収入だからで、結局、依存のシナリオは健在というわけです。
  「大した仕事でもないのにあくせくしてしがみついて…」と嫌味言われることがありますが、路頭に迷わないために仕事にしがみつくのは当然です。超一流エリートであれ末端の労働者であれ、自分の食い扶持は自分で稼ぐというのが本来であり、その上で、しかるべき事情のある経済的弱者に対して福祉を考えればいい話です。「食べるためにあくせく働くのはカッコ悪い」などと、専業主婦にだけは言われたくないですね…。生活の為ではない優雅な仕事?? そんなものは幻想だと思います。たとえ好きな事でも仕事となれば責任と厳しさが伴うのが当然じゃありませんか…。 どうも長々失礼いたしました』

 

>「お嫁系OL」などという言葉まであるようです。 

 へ〜〜〜

> 主婦の投書を新聞で見ました

 私は投稿者が専業主婦だったら、年金問題に限らず読まないことにしてます。時間の節約です。

>男が比較的高収入だからで、結局、依存のシナリオは健在というわけです

そうなんですよね。だけどその前提は、今、少しずつ変わってきているような気がします。正当な能力主義の社会では、ただオトコだと言うだけで高収入が得られるわけではなくなりつつあります。で、リストラが社会問題化しするわけですが、私は、男だけが働いている家庭を襲うリストラの悲劇に半分しか同情しません。だって、二人が働いていれば片肺だって飛べるはずだもの。そういうリスク管理をしないでおいて、リストラされたリストラされたと騒いで同情を買おうとするのはやや滑稽だと思っています。

>「大した仕事でもないのにあくせくしてしがみついて…」と嫌味言われることがありますが

こういうことを言うのは本質的に負け組みだと思いますよ。気にすることはありません。

>超一流エリートであれ末端の労働者であれ、自分の食い扶持は自分で稼ぐというのが本来であり

そうです。アナタは正しい!仕事は人のアイデンティティーであり、人は仕事を通して成長するものです。頑張りましょう。お便りありがとうございました。

 

2004/05/27

働く女性の皆様のご意見募集

          (頂いたご意見は当サイトで紹介させて頂くことがあります) 

   

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 年金改革:各党の違いは?

 

お便り紹介つづき

 

参院選挙ですね。年金問題は、争点のようで・・・争点なのでしょうか? 与党は政策論争を北朝鮮関係の浪花節で上書きしようとしているようで不愉快。国民をバカにしているのか国民がそのレベルなのか。

ところで、政府の年金改革に国民の7割が反対とか。でも、そういう国民の方だって、法案をちゃんと読んでいたのかというとアヤシイものがあります。新聞や雑誌の解説だけを読んで原本も読まずにとりあえず「反対」^^;; まあそれだけ政府が嫌われてるってことかもしれませんね。(他党の対案も読まれてないのはいっしょなので、政治家全体が嫌われてるのかも?)本日は選挙にちなんだお便り紹介です。

 

始めまして私は年金2号を23年近く続けている、子供3人の共働き主婦です。今回の参議院選挙でも年金問題が焦点になっていますが、3号廃止を提言している党はないようですね。あったら即入れようと思っているのですが。

年金未納者なんて自分がもらえないんだし、障害者になっても障害者保険もないのですがら、それを承知なら問題にすることもないでしょう。一番の問題は年金3号ですよね。サラリーマンの主婦だけが払わなくてももらえる・・・。払わなくてもらえる制度にしているから破綻するのです。なぜ誰もここにメスを入れないのか。それはサラリーマンの主婦だからでしょう。サラリーマンの主婦から徴収するとなるとサラリーマンのご主人が困る。労働者に不平が生じると企業も困る。企業が困ると政党が献金をもらえない。概ねこいうった図式ではないでしょうか?この問題にメスに入れるのはどう動けばいいとお考えですか?やはりどこかの国会議員、政党に訴えるしかないと思うのですが。

何とか大きな運動に広げられないものでしょうか?

 

大阪府 女性

 

 

ウェブサイトへの御訪問、またお便りをありがとうございます!

男女平等参画などといいながら、日本は専業主婦を優遇する社会になってますよね。また、この件に関して、サラリーマンと自営の差は随分大きいと思います。大阪はどちらかわかりませんが大阪市で自営の場合、健康保険も随分高いと感じます*

 

3号廃止を提言している党はないようですね。あったら即入れようと思っているのですが。

 

ぜんぜん争点になっていないですね。ただ、自民党は遺族年金(厚生年金の妻の特権。国民年金には同様の制度はなし)の受給期間を短くしたことで、将来、「三号の廃止を目論んでいるのでは?」、と勘ぐられています。 また民主党の案は個人単位を基本としているので、自動的に三号問題がなくなるかのような感じに読めます。いずれにしても、三号廃止を正面から訴えている政党はありません。

 

>この問題にメスに入れるのはどう動けばいいとお考えですか?

 

とりあえず、このようにウェブサイトで賛同者をつのってます ^^; 

賛同者が増えたら集会でもしようかな。 お便りありがとうございました。少しでもマシな候補者を探して投票しましょう。

 

* 現在の議論では、健康保険と切り離されて年金だけが議論されているが、年金は健康保険とセットでないと入れない。国民年金の加入者は国民健康保険。厚生年金の加入者は、会社で加入している社会保険というふうに。で健康保険であるが、掛け金が自治体によってかなり差があるようだ。大阪市は日本一高く、医療分の所得割額は市府民税の640% 年収5-600の単身者だととてつもなく高額となる(税金をあまり払ってない人なら安い)。ちなみに東京都品川区の場合、この割合は208%である。ところで、共済年金が最も恵まれているじゃあないかというご指摘があったので、次回以降少し調べてみようかと思っています。

 

2004/07/09

 

同じ方から。続きです。

 

私は大阪府は吹田市在住です。吹田市を選んだのは当時(20年ほど前)保育行政が良かったからです。子供3人を育てながら、当時は年金2号でフルタイムで働くには保育所が頼りでしたから。私には結婚したから、子供ができたから、仕事を辞めなければならないといった思考がなかったのです。ですからあれから20年以上経った今でも「子供できたら、やはり仕事無理でしょう」という議論がどうしても理解できません。昔より今の方が保育所ははるかに入所しやすくなっていると聞きますのに。当時は産休(産後6週間)明けで預かってくれる保育所がなく、自分たちで保母さんを雇って運営する保育所を作っていた位で、子供が3人となると預ける保育所も2箇所になることもありました。

話がそれてしまいましたので、年金問題にもどります。民主党の改革案が昨日の地域の情報誌に載っていましたが、これによりますと夫婦の年金は収入を合算してその2分の1ずつそれぞれの収入とみなす方式(二分二乗方式)を採用するとあります。つまり妻に収入がない場合、夫は払っている半額は妻の年金分で将来離婚したら当然半分しか年金ももらえないことになりますね。これによると、妻に収入があるとそれ相当払い込む年金も増えていく訳で、当然もらえる年金も増えて、共働きの夫婦との不公平感はなくなる感があります。しかし民主党の案に無理があるのは、年金1号にも2号と同じだけ年金を支払うので、それだけお金を掛けるようにしていることです。企業が半分払ってくれる年金額を自営業者は全額払えというのは、相当負担が重いですし、自営業者で払わない人はもらえない覚悟があるのですがら、ある意味いらんお世話と言いたくなります。いい意味で受け取れば、自民党にしろ、民主党にしろ、直接年金3号の問題には踏み込まずに、なんとなく3号を解消させようとしているのでしょうか。

HPで瀬尾先生も書いておられる「基礎年金を国庫負担でまかなう」というのは、私も賛成ですが、これは今回の選挙では共産党の改革案と一番近いものとなる感があります。月に5万円といえば年間60万円ですので基礎年金に近い額でもあります。あとは自分で積みたてよ、というのが一番すっきりする感じがします。この目的で使うのなら消費税アップでも国民は納得するのではないでしょうか。

恐らく全てのフルタイムで働いている女性は賛同者です。ただ、比率は少ないかもしれません。しかし専業主婦の人の中にも賛同者はおられると思います。払っていないのにもらえているということをきちんと認識さえすれば。

 

>私には結婚したから、子供ができたから、仕事を辞めなければならないといった思考がなかったのです。

 

頭がさがります。

 

>企業が半分払ってくれる年金額を自営業者は全額払えというのは、相当負担が重いですし

 

理解できます。ただ、厚生年金は「企業が半分払う」といいますが、その原資を稼いでいるのは働いている人自身であるため、実質的には自分で負担しているのと同じであるとする議論があります。大企業といえども「働く人」の集まりなわけで、「企業」という木に年金資金が生っているわけではない、という部分は理解しなければならないでしょう。

 

>自営業者で払わない人はもらえない覚悟があるのですから、ある意味いらんお世話と言いたくなります

 

積み立て方式であればおっしゃるとおりです。賦課方式の現状では議論があるでしょうね。

 

HPで瀬尾先生も書いておられる「基礎年金を国庫負担でまかなう」というのは、私も賛成ですが、これは今回の選挙では共産党の改革案と一番近いものとなる感があります。

 

基礎年金を税金にしろ、というのは単なる理想形の議論で、言うだけなら竹中大臣だって塩じいだって言っています。ただ、竹中大臣も指摘してるとおり、白紙に絵を描くわけではないので、そこに行き着く道があるかどうか、というところが問題となってくるわけです。仮に、来年から、“基礎年金は税金で全員に出しましょう”、などという制度をいきなりはじめれば、いままでコツコツ収めてきた人と、まったく不払いを決め込んできた人の間にとてつもない不公平が生じてしまいます。政権政党は、財源の確保から移行の方法まで含めて具体的な議論ができなければならないと思います。

 

>この目的で使うのなら消費税アップでも国民は納得するのではないでしょうか。

 

そうだといいですが・・・消費税アップには闇雲に反対する人も少なからず存在しているような気がします。共産党の案は読んでいませんが、かの党が消費税アップに同意するとは思えないです。

 

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