2011年追記

 

この記事を書いてから5年。東京の自転車は相変わらず歩道を走っている。しかし、マナーは大分改善した。歩行者にちりちり鳴らしたり、猛スピードで追い越していったりする自転車は激減している。結構なことだ。迷惑自転車問題は、あれからテレビなどでも結構とりあげられていたし。というわけでこの記事は実情にあわず古くなったので「過去の日記」に移動することにする。問題が改善して過去日記行というのはいいものだ。

 

ただ、歩道通行については改善されたが、赤信号は相変わらずだ。車道を走行している自転車が交差点以外の信号で止まることはないように思える。歩行者としては、信号だけを見て渡るより、自分で確認したほうがよい。もっとも、私は、「日本人の歩行者は車のいない道路でも信号にしたがう」という、若干の嘲笑を含む「ほめ言葉?」に共感するほうなのだけれど。

 

最近問題になっているのは、自転車が歩行者に重大な損害を与えた場合、治療費や慰謝料が払えない場合があるということだ。自転車乗りが保険に入っていることは稀だから。子供が公園で走るくらいならいいのだが、こち亀の両さん並のスピードで走行可能な体力のある人は、できるだけ保険に入ってほしいと思う。保険会社もそういう商品をそろえて宣伝してもらいたい。事故率は高くはないので、対人だけならそんなに高い保険料にはならないのではないか。自動車では任意保険に入っていないドライバーは、「良心のかけらもない」と言われるけれど、それは自転車だって同様。ただ、私自身は保険は関係ないとおもうのだけれど。債務を踏み倒すようなら、人としてどうかと言われてもしかたないけれど、一生かかっても払うつもりなら、良心うんうんとか言われるほどでもないと思う。

 

 

 

 

 

東京の自転車問題

 

−ライセンス制にしてください−

 

東京を走る自転車は、近年東京で片っ端から殺戮されているカラスより、その実よほど迷惑である。

日本の自転車の問題点は、「日本の自転車の問題点」のページ にくわしい。このページに挙げられているいくつかの問題の中で、本日取り上げるのは、自転車の歩道通行である。

自転車は道路交通法上、軽車両扱いで、原則として歩道の通行ができない。通行できるのは、「自転車通行可」という青色の標識がある歩道だけである。これを自転車に乗る奴で認識しているのはほとんどといっていいほどいない。どの道であっても、自転車は歩道可だと思っているのだ。さらに道路交通法では、自転車通行可の歩道でも、歩道の車道よりを徐行して、歩行者の邪魔をしてはいけないことになっているが、日本の自転車はベルを鳴らして歩行者をどけようとしたり突き飛ばしたりする。海外から、研究者を招いたときに、「日本の道は何処をあるけばいいんだ?」と聞かれて赤面したが、そのマナーの悪さは北京の自動車以上であり、国際都市東京には似つかわしくない。

警視庁のホームページには、「自転車の正しい乗り方」なるページがある。ここには、「『自転車通行可』の標識のある歩道では、歩行者の迷惑にならないようにしましょう」と書いてあるが、これは読みようによっては『自転車通行可』の標識のない歩道では、歩行者に迷惑をかけてもかまわないかのようであり、問題だ。(もちろん、本当は標識のないところは走れない。罰則は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金である=道路交通法17条)。まずは、『自転車通行可』のところ以外は走れません、というのを明記してほしいものだ。もっとも警察は本気で自転車を取り締まる気などないだろう。自転車にはライセンスがないからだ。この件について、品川区に問い合わせたときも、自転車に道路交通法を守らせるのは、ライセンスがないので、難しいといわれた。これは、ライセンスがなければ法を遵守する必要はない、ということではなく、現実問題として困難だ、という意味だろうが、力のぬける回答である。

 

歩道の自転車は、特に難聴などの障害を持つ人にとって脅威である。歩道自転車は、ベルをちりちり鳴らして、歩行者をどけようとするが(←これは立派な違法行為)、それで相手がどかないと逆切れ手暴力行為にでるからだ。こういう乗り手は、なにも男だけでなく、荷台に子供をつんでいるような母親にもしばしば見られるものである。

 東京の自転車は歩行者にとって結構な脅威である、すなわち外部的な不経済があるにもかかわらず、ライセンス制などの規制や課税などが一切ないのはむしろ不思議といえる。数が多くて対応できないというかもしれないが、ライセンスを有料にして、それなりの価格にすれば解決する問題であろう。ライセンス化とともに、自転車にナンバープレートをつけ、登録制にすれば、駅前の不法駐車も一掃されるだろうし、近年激増している、自転車によるひったくり犯罪なども激減するだろう。自転車の盗難も少しは減るかもしれない。指導と取締りは、警察OBにお願いすれば、高齢者の雇用確保にもちょっぴり貢献する。ライセンス料は東京都の新たな財源となるだろう。

 私は東京生まれだが、東京は田舎者の集まりである。自転車は、田舎では、車道を走ろうが歩道を走ろうが、多分ほとんど問題にならない。どうせ誰もいないからだ。しかし、東京に越してきて、それをやられると、とても困る。東京は田舎とは違うのだ。過密都市東京においては、地方では必要のない法律(=道路交通法)でも、重要な役割を果たすのである。したがって、ライセンス制を東京都だけで実施することには合理性があると考えられる。ところで、東京荒川区では、小中学生に自転車免許書を発行しているらしい。このページの上の自転車社会学会なるHPによると、「自転車と歩行者の衝突事故は1,681件で、内訳は、死者4人、重傷者167人、軽傷者1,405人となっている」そうだ。結構すごいですね。これ、届けられたものだけですもんねえ。自転車はナンバーがないので、軽症なら届けない可能性もありますよね(ナンバーがある車だって逃げことあるけど)。

 というわけで・・・

石原さん。東京に自転車のライセンス制を導入してください。

2003/11/14

 

追記

 

ところで、「自転車は環境にいい」と思っている人がいる。環境学者である(← 一応)瀬尾が自転車の制限を主張するのはおかしいといわれるかもしれない。だが、自転車が環境に良いかどうかは、一般にはいえない。というのは、自転車が環境によいのは、自動車と比べて、の話だからである。車の替わりに自転車が使われるならガソリンを使わないぶんだけ確かに環境によいが、徒歩が自転車に代替されたなら、むしろ環境には悪い。自転車だって、製造や廃棄を通じて、確実に環境に負荷を与えるためで、この度合いは、せいぜい靴が減るに過ぎない徒歩の比ではない。

で、東京の自転車であるが、これは感覚に過ぎないが、車ではなく、徒歩を代替しているような気がするのである。つまり環境には悪い。田舎の人はちょっとその辺に行くのでもすぐに車にのるが、東京ではそれはできない。駐車スペースが少なく、かえって面倒だからだ。それに東京は高密度になんでもつまっているから、車はさほど必要ではない。足があればたいがい間に合う。だから、田舎の自転車は「ちょっとそのへん」のときの車の利用を減らしてくれそうだが、東京の自転車は、もともと歩いていけるところに自転車が使われるだけのことで、環境にいいとはいえない、と思っているのである。

 

2004/3/21

 

 

「新たな財源になどなるはずない」

 

−反論自転車のライセンス制−

以下「のしし」のご意見板からのピックアップです。投稿者は「冷静な議論を求む」さん。

 

私は瀬尾佳美先生のライセンス制には概ね同意しています。

これは先生の「東京都」という表現が「23区内」という意味である場合ですが。と言うのは、武蔵野市以西の都市では自転車が明らかに乗用車の代替として使われているという現実があるからです。調べるまでもないんですが、八王子市などにある東京都立大学などでは、「体力の有り余ってる二十歳前後の学生が、自転車で通学できる距離にも関わらず乗用車で通学している」という実情さえあります。

 

それと、「東京都の新たな財源」というのは現実的には不可能だと思います。確か500円の防犯登録ですらトータルコスト的には赤字で税金の持ち出しだったはずですし、店頭ではそれすら出し渋る客が多いと聞きますので仮にライセンス制にしたとしても、一般市民が同意できる額としては無料か300円と言ったところではないでしょうか。以前荒川区が「自転車税」を導入しようとした時も、「荒川区内の自転車屋で買わなくなるだけだ」という批判により頓挫しましたし、これと全く同じことが起こるのではないでしょうか。「厳重に取り締まれば良い」という意見もあるとは思いますが、そうなると人件費もかかりますます赤字が酷くなります。自転車がせめて原付ほどの値段で売られていれば可能なんでしょうが、何しろ今はビックカメラ等のセールで4980円で買えますからね。従って「税金の持ち出しで取り締まる」という形になるとは思いますが、それでも違法な自転車の利用は私にとっても目に余るものがあり、そういう形でのライセンス制の導入について実施するかしないかはともかく皆で考えてみることを提議したことには、大きな有意性があると思います。

 

乱文すいません。

 

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>これは先生の「東京都」という表現が「23区内」という意味である場合ですが。

 

もっともなご指摘。注釈をつけました。

 

>「荒川区内の自転車屋で買わなくなるだけだ」という批判により頓挫しましたし 

 

外部性をうめる税金的な意味合いのものについてはおっしゃるような事態が発生することが予想されます。このような議論は地域限定のデポジットやゴミ有料化などの提案の際には必ずでてくるものですね。ただ、ライセンスを出すのは自転車屋ではなく公的機関(たとえば都)になりますので、都の自転車屋の商売を妨げる懸念はないかと思います。外国産の車であっても、日本のライセンスがなければ日本で乗れないのと同じです。防犯登録の場合は、便益の享受者が自転車に乗る人本人であるので、購入者の同意が得られない限り実施する必要はありません。ですが、ライセンス制の場合は、ライセンスがない状態で不利益を受けている人が購入者自身ではないため、購入者の同意が得られる可能性は少ないですし、また必ずしも同意が必要ということではないと思います。公害のP.P.P.と同じです。

 

「厳重に取り締まれば良い」という意見もあるとは思いますが、そうなると人件費もかかりますます赤字が酷くなります。

 

全員を厳密に取り締まればコストがかかりますが、抜き打ち的、違反があったときに調べる、というようなものでもかなり効果はあるのではないでしょうか。車の場合も、免許不携帯でつかまる可能性はほとんどありませんが、ドライバーはできるだけ免許を持ってでようとしますし、持っていないと安全運転になったりします。地域限定で実施することの問題はおそらく、他地域の人が都内を横切るときどうするか、というような事務的なものでしょう。

 

1. 「冷静な議論を求む」さん。ここに記事を転機することに不都合があれば個別に連絡をください。

また、HNを変更したい、あるいは記事を一部修正したい等のご要望も同様にメールでリクエストを御願いします。

 

 

 

自転車関連新聞記事情報

 

 

            自転車の利用マナー、違反者に警告 県交通指導員連絡協、イエローカード徹底

http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_today/T20040520003.htm

「自転車も乗れば車の仲間入り」自転車は道交法上、軽車両にあたることを、イエローカードを使って、利用者に周知させる試みの紹介。県警交通企画課によると、自転車は免許を必要としないが、道交法上、軽車両にあたることを知らない人が多いという。」そうなんですよね〜「自転車による信号無視は、三カ月以下の懲役あるいは五万円以下の罰金、酒酔い運転は三年以下の懲役あるいは五十万円の罰金が科せられる。」(520

 

            「自転車運転免許証」制度を導入する自治体が相次いでいる」

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/20181.html
 

                                                                                              

 関西在住の「のしし」(本サイト掲示板の管理人)が送ってくれた、日経関西版の新聞記事。どちらかというと自転車に乗る人自身の安全性を高めることに主眼をおかれた取り組みか。(2004/6/21

 

            飲酒運転、2人乗り悪質自転車の摘発強化 警視庁

http://www.asahi.com/national/update/0816/015.html

                                                                                              

ついに警視庁が動く。「自転車が絡む死亡事故が東京都内で相次いでいるため、警視庁は違法運転の取り締まりを強化。悪質な場合は逮捕にも踏み切る。都内の交通事故による死者は15日現在189人で、昨年同時期より16人多い。うち自転車が絡む事故による死者は12人増えて38人。四輪や自動二輪の死亡事故に比べて突出している。」(2004/8/16

 

            接触事故4人に1人 「危険な歩道」裏付け 自転車利用者

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040818-00000023-nnp-kyu
 

                                                                                              

 「福岡市内の自転車利用者は四人に一人の割合で過去三年間に何らかの接触事故に遭っている。狭い歩道を自転車と歩行者が行き交う危険な状況が続いているが、それを数字で裏付けた格好。接触事故の体験者のうち約八割は警察に届けていない」。アンケート調査の結果公表である。だがこの記事なんとなくおかしい。回答者は「歩行者と接触した人の六割近くは歩道の狭さを原因として指摘」。としているが、狭い歩道は、本来自転車では通行できないきまりなんですよ^^;そこを通行しているあんたが悪い。この点はまさに長山先生がご指摘の通り「自転車歩道通行可の標識がある歩道以外は歩道を通行してはならないが、どの歩道でも通行しても良いように考えている。」(2004/8/18)あとこのページも面白いです。→自転車バカ 車道を走れっ

 

 

放置自転車税鉄道5社は「遺憾」東京・豊島区

 

そりゃそうでしょう。これは誰がどう見てもおかしいですよ。放置自転車の迷惑税は自転車を放置した人が払うべきもの。そうでなければ、抑止のインセンティブにつながらない。JRが払う金の原資は電車に乗る人が支払った運賃。電車と自転車は音が似てるからいいやって感じの実に稚拙な課税方法だ。自転車に乗らないJRの利用者がなぜ迷惑自転車のツケを払わなければならないのか!駅前の自転車に迷惑しているのは電車の利用者とて同じ。ヤキがまわったか石原伸晃!(ってもともと何にもしてないか)麻生さん、よく折れたね。

 

 

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