個人保証撤廃?

 ―だといいけれど 

 

去る200462日、民主党の中津川議員が、「中小企業者に対する銀行等の適正貸付けに関する法律案」を議員立法として提案した。http://www.interq.or.jp/tokyo/nakatsu/04-06-16.html

法案自体は読んでないが、連帯保証人の問題を取り上げる議員が出てきたのは評価できる。だが、この人は、連帯保証の問題の本質を本当に理解しているのだろうか、と思うような記述があったので紹介する。

 

会期末の迫った6月14日、(略)「金融機関等からの借入に際しての連帯保証の実態についての予備的調査」を行うよう、要請書を衆議院議長宛てに提出しました。

この調査は、銀行などからの貸付けの際に結ばれる連帯保証によって、中小企業の経営者や個人債務者の連帯保証人が限度額や期限のない包括保証債務を負わされた結果、自殺や家庭崩壊に追い込まれるといった悲劇を生んでいる実態を、さまざまな角度から明らかにしていくために絶対に必要なものです。

 

連帯保証人の問題でなにが最も深刻かといえば、間違いなく中小企業の経営者に頼まれて名前をつらねた素人の個人保証人であると筆者は考えている。なぜなら、まず企業の保証であるから金額が大きい。千万単位から始まるのが普通である。これが個人債務者の連帯保証人との大きな違い。そして、情報が全くないこと。これが、経営者本人との違いである。だが、上記の記述によると救済の対象になるのは

1.中小企業の事実上の主務者である経営者

2.個人債務の連帯保証人

であり、企業の経営者に無理やり頼まれた、素人連帯保証人は含まれていない。この議案を提出した議員は、

「なぜ民主党に出来て自民党はこの法案を作れないのかというと、理由は簡単です。それは、民主党が銀行協会から金をもらっていないからです。」

 

となど言っているが、中小企業の経営者からは献金を受けてんじゃない貝?と突っ込みをいれたくなる。この議員は銀行が悪い悪いと言っているが、事実上の主務者たる経営者に逃げられた連帯保証人にしてみれば、経営者と銀行はグルに見える。あえてどちらが悪いかと聞かれれば、やっぱり踏み倒したほうが悪い。契約を主導したのは明らかに銀行でなく経営者のほうだしね。いやなら借りなければいいのだから。

 

さて、掲示板にも書いたが、連帯保証人関係の動きでもう一つ。

法制審議会(法相の諮問機関)保証制度部会の試案で、主に「根保証」の見直し

. 保証の限度額を定めない契約は無効
. 保証期間は金融機関と保証人が合意した場合5年以内。期間の合意がない場合

  @ 3年 または
  A 保証人が代表者の場合は3年経過後に債務の確定請求権
    代表者以外の場合は3

法務省は年内にも関連法案の提出を考えているようだ。


この試案も経営者本人の保証と、第三者による保証を区別していない。
企業の再生を助けるための法律と見るほうが正しいようだ。

2004/09/08

 追記: ここにも「連帯保証人の悲劇=中小企業経営者の悲劇」と問題の矮小化を図っている議院がいるので紹介。民主党は組織として、中小企業からなんかもらってるのかもしれないですね。大阪なんかだと、開放同盟が民主党を支持していて、開放同盟と中企連は昔上田拓海という議員でつながっていたから、中企連が民主党を支持していたとしても不思議ではないですね。経営者にダマされた連帯保証人としては、民主党の動きは嫌な感じがするね。

2005/01/22

 

 

 免責問題研究所トップにもどる

 

 

 

inserted by FC2 system