平成14年度の自己破産申し立て件数は22万件であるが、近年、自己破産は、年率20%というすさまじい勢いで増加している。これを長引く不況の結果と見る向きもあろうが、果たしてこの数値はそれだけで説明できるのだろうか。実は、これ以上に驚くべき数値がある。それは、実に99.6%にも上る、免責決定率の高さである。つまり、現在、自己破産を申し立てると、100%に近い確率で、すべての借金をさっぱりチャラにできるのである。一方自己破産の現実的なデメリットは普通の人には殆どない。つまり自己破産・免責は、なんのコストもなく、数百万、時には数千万にのぼる借金をゼロにできる、まさに魔法の制度なのである注。
注:民主党政権になって、亀井さんの徳政令でちゃらが加速しつつある様相です。始めから踏み倒すつもりで借りる人にとっては朗報ですね。
この大変なメリットが知れ渡るに従い、その恩恵に浴そうとする者が雨後春筍のように増加するのはむしろ理の当然といえる。あまりにも安易に与えられる免責は、モラルハザードを誘発し、円滑な金融市場を阻害する。つまり、人と人との信頼関係の構築を阻むという非常に深刻な外部費用を発生させるのである。このページでは、現状の免責制度がいかに不合理なものであるかを、主に経済学的な視点から論じることである。
このページを作成しているのは駆け出しの経済屋であるが、これを読むには多少法律の知識が必要である。教科書として、現役の裁判官が著した、以下の図書を推薦する。
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教科書
破産免責の限界 −債権の本質に迫る− 井上薫 著 法学書院 (2000+税)
推薦の言葉:著者は裁判官(現在は退官)であるが、東大の理学系で修士まで修めた多才な人物である。それゆえかもしれないが、かなり良く出来ている。
副読本
裁判の秘密 山口 宏・副島隆彦 著 洋泉社 (文庫は宝島文庫より)
推薦の言葉:特に、第4章「債務者に怖いものはない」が大変参考になります。
このページに関連した論文がフジタ未来経営賞を受賞しました。受賞論文は、週刊エコノミストに掲載されました。
裁判所のページ
破産法等の見直しに関する中間試案
以下個人の方ページ
破産免責制度関連(免責制度の現状、免責不許可事由 (破産法366条第9項)など資料豊富)
もし詐欺師が自己破産したら(リンク集充実)
告訴状・告発状の書き方(実務お役立ちページ。文書は自分で書こう!)
最終更新日 : 2010年1月20日